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『心・肝・膵臓/胃腸』に関する論文

『水素ガスは肝障害を抑制』

〔学術雑誌名〕Biochem. Biophysi. Res. Commn., 361(2007), 670~674
〔表題〕Inhalation of hydrogen gas suppresses hepatic injury caused by ischemic/reperfusion through reducing oxidative stress(水素ガスの吸入により酸化ストレスの軽減作用を介して虚血・再潅流によって起こる肝障害を抑制する)
〔著者〕Kei-ichi Fukuda et al(日本医科大学)
〔概要〕著者らはこれまでに、分子状水素は選択的に細胞障害性の有害な活性酸素を削減する作用を有し、脳梗塞の梗塞量を減少する事を明らかにしてきた。本研究では水素ガス吸入により、肝臓の虚血・再潅流によって発症する肝障害も同様に抑制する事を明らかにした。肝細胞死の減少、血清中のalanine aminotransferase の減少、酸化ストレスの指標である肝臓のmarlondialdehydeの低下も認められた。

『水素は肝炎に有効』

〔学術雑誌名〕Life Sci. 324(2001) p729-714
〔表題〕Anti-inflammatory properties of molecular hydrogen: Investigation on parasite-induced liver inflammation(分子状水素の抗炎症作用:寄生虫で誘起した肝炎に関する研究)
〔著者〕B.Gharib et al (所属機関:Mediterranee大学、フランス)
〔概要〕分子状水素は、炎症組織で産生される殺細胞作用の強い・OHラジカルと反応するので、抗炎症作用が期待される。本研究では、酸素・水素の混合ガスを、潜水からの回復に応用する経験豊富なグループによって実施した。寄生虫で誘引した慢性肝炎マウスモデルを、0.7MPaの水素を補充した常圧チェンバーに入れて、水素ガス吸入による抗炎症作用を検討した。その結果、肝炎の諸症状が抑制され、抗酸化酵素の上昇、過酸化脂質及び血液中TNFαの低下が観察された。また、同条件でHeガスもある程度の抑制作用を示し、必ずしも・OHの除去作用のみが全てではないことを示し、水素の抗肝炎作用について更なる検討が期待されている。

『水素水の飲水によって肝臓の酸化-還元に関連する遺伝子レベルに変化』

〔学術雑誌名〕Biosci. Biotechnol Biochem., 2011; 75(4) 774-6
〔表題〕Hepatic oxidoreduction-related genes are upregulated by administration of hydrogen-saturated drinking water(肝臓の酸化還元関連遺伝子が水素飽和水の飲水によって上昇する)
〔著者〕Y. Nakai et al(東大・農)
〔概要〕ラットを用いて肝臓の遺伝子発現に対する分子水素(H2)飽和水の飲水の影響を検討した。DNA マイクロアレイ法により分析した結果、4週間の飲水で548の遺伝子が増幅され、695の遺伝子が減少した。解析の結果、hydroxymethylglutaryl Co A reductaseを含む酸化還元?関連タンパク質の遺伝子が有意に増幅されていた。

『水素は結腸の炎症を予防』

〔学術雑誌名〕Biochem. Biophys. Res. Comm.(2009),doi:10.1016/j.bbrc.2009.05.117
〔表題〕Hydrogen mediates suppression of colon inflammation induced by dextran sodium sulfate(水素はデキストラン硫酸で起こした結腸の炎症を抑制)
〔著者〕Mikihito Kajiya et al (所属機関 The Forsyth Institute, Boston)
〔概要〕分子状水素が、その抗酸化作用によって虚血―再還流による障害を予防する事が知られている。本報告では、水素の抗炎症作用を調べる為に、ヒトの炎症性腸疾患のモデルマウス、即ち、(1)5%デキストラン(DSS)群、(2)DSS+水素群、(3)水素群の3群を設けて、水素溶解水の効果を検討した。病理所見、体重減少、大腸炎指数、患部の炎症性サイトカイン等の指標が、水素水飲水により有意に改善し、DSSによって起こるマクロファージ浸潤を伴う、腸組織の障害も明らかに抑制され、水素水の有効性が認められた。

『水素は急性膵炎を予防』

〔学術雑誌名〕Biochem. Biophys. Res. Comm.(2010),doi:10.1016/j.bbrc.2010.02.005
〔表題〕Hydrogen-rich saline ameliorates the severity of L-arginine-induced acute pancreatitis in rats(水素豊富水はアルギニンで起こるラットの急性膵炎の重篤化を改善する)
〔著者〕Han Chen et al(所属機関 上海軍事大学他)
〔概要〕SD系ラットに腹腔内に1時間間隔で L-arginine を投与して惹起される急性膵炎に対し、 L-arginine 投与後15分後ごとに尾静脈より、水素豊富食塩水(>0.6mM,6ml/kg)を投与して膵炎抑制効果を検討した。血清アミラーゼ、すい臓の水含有量、並びに病理的所見により評価した。水素豊富食塩水は、有意に膵炎の発症を抑制した。その作用は、酸化ストレスの抑制、アポトーシスおよびNF-κBの抑制による事が明らかになった。

『水素水は腸虚血に有効』

〔学術雑誌名〕Free Rad. Res.,May 2009;43(5):478-484
〔表題〕Hydrogen-rich saline protects against intestinal ischemia/reperfusion injury in rats(水素溶解食塩水がラットの腸虚血再潅流障害を防止する。)
〔著者〕Zheng X, Mao Y, Cai J, Li Y, Liu W, Sun P, Zhang JH, Sun X, Yuan H(中国人民解放軍火傷外科手術研究所、及び中華人民共和国上海第二軍医大学上海病院火傷外科手術科)
〔概要〕水素ガスが活性酸素種を減少させ、脳、心筋、及び肝臓虚血再潅流(I/R) 障害を緩和するという報告がある。本研究では、腸虚血再潅流障害に対して臨床応用が容易な水素溶解生理食塩水の作用を検討した。雄のSDラットを用いて腸虚血再潅流障害のモデルを作成した。生理食塩水、水素豊富生理食塩水、窒素豊富生理食塩水(5ml/kg)をそれぞれ再潅流10分前に静脈内投与した。鏡検的に腸障害が観察され、腸虚血再潅流(I/R)障害後、Chiu採点システムにて評価した。加えて、腸虚血再潅流(I/R)障害によって、血清DAO活性、TNF-α、IL-1β、IL-6レベル、細胞MDA、たんぱくカルボニル、MPO活性が著しく増加した。窒素豊富生理食塩水で処置した動物では顕著な減少は認められなかったのに対し、水素溶解食塩水はこれらのマーカーを著しく抑制し、形態学的にも腸障害を減少した。本研究において、水素溶解食塩水は、炎症や酸化ストレスを減少させることにより、小腸を虚血再潅流障害から保護することが示唆された。

『腸内細菌由来の水素は肝炎を防御する』

〔学術雑誌名〕Biochem. Biophysi. Res. Commn., 386(2009), 316-321
〔表題〕Hydrogen from intestinal bacteria is protective for Concanavalin-A induced hepatitis. (腸内細菌由来の水素はコンカナバリン-Aで誘発される肝炎を防御する)
〔著者〕M. Kajiya et al(Forsyth 研究所、フロリダ大他)
〔概要〕大腸菌の様な腸内細菌が大量の分子水素(H2)を産生することがよく知られている。H2が抗酸化効果を示すことは多くの文献で報告されているが本研究では腸内細菌コロニーの細菌から放出された水素がコンカナバリンーA(Con-A)で誘発されるマウスの肝炎に効果があるか否かを検討した。全身作用する抗生物質を投与すると腸内細菌の抑制を伴って肝臓および腸の水素レベルが有意に減少する。血清中のAST,ALT,TNF-αなどの諸因子のレベルから調べると抗生物質による腸内細菌の抑制によってCon-Aで誘発されるマウスの肝炎の重篤度が上昇した。この作用は水素生産性の大腸菌によって抑制されるが水素産生能のない変異大腸菌では抑制されなかった。さらに、in vitroでのCon-A刺激で上昇するすい臓リンパ球のTNF-αおよびINF-γはH2によって有意に阻害された。以上の結果は腸内細菌から放出されるH2はCon-Aで誘発される肝の炎症を抑制することを示唆している。

『水素補強水の飲水はラットの心臓同種移植片の劣化を防ぐ』

〔学術雑誌名〕Transplant Int., Vol.25, No.12, P1213~1222, 2012, doi:10.1111/j.1432-2277.2012.01542.x.
〔表題〕Hydrogen-supplemented drinking water protects cardiacallografts from inflammation-associated deterioration(水素補強水の飲水により炎症に起因する心臓同種移植片の劣化が保護される)
〔著者〕Noda,K. et al(ピーツバーグ大, 兵庫医大)
〔概要〕分子水素は炎症に関連する疾患に対して治療効果があることが示唆されている。本報ではラットの移植手術後水素水を連日投与することにより臓器受容側ラットの移植片が保護されるとの仮説で研究を実施した。ラットを用いタクロリムスにより短期間免疫抑制しながら異所性の心臓移植と同所性の動脈移植を実施した。@水素ガスを水道水に吹き込んだ水の群(Bu-HW)、A水道水にMgスティックを加えて水素ガスを発生させた水の群(Mg-Hw)、B通常の水道水の群(RW)、CMgスティックで水素ガスを発生した後水素ガスを脱気して除いた水の群(DW)の4群を設けて水素の効果を比較検討した。移植片の生存は毎日心拍を触診することによって確認した。その結果、Bu-HW群とMg-Hw群ではRWとDW群に比べて明らかに移植心の生存率の延長並びに移植動脈の血管内膜過形成が抑制された。さらに、試験管内試験ではT細胞増殖が抑制され、結果としてインターロイキン-2、インターフェロン-γ産生が減少した。水素処理に寄りは移植片のATPレベルが上昇し、ミトコンドリアの呼吸鎖の酵素活性が上がる。以上の結果から、水素水の飲水により心増殖片の生存率が上昇し動脈移植片の内膜過形成も抑制されることが明らかになった。
〔背景〕水素ガス吸入は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片 の傷害を防ぐか否か検討する。
〔方法〕同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。
〔結果〕虚血―再環流傷害の初期相では水素補強液によって明らかに粘膜移植片の形態は保持され、再環流移植片中の還元力を示すマロンジアルデヒド量の低下、さらには炎症関連分子の軽減が認められた。再還流の後期相でも炎症性分子や関連酵素の低下、移植組織機能の改善が見られた。また、移植片の生存率も41%から80%に上昇した。水素処理移植片筋層の抗炎症作用、抗アポトーシス酵素のheme-oxigenase-1は有意に上昇した。
〔結論〕ラットの移植腸移植片を水素水処理することにより、形態的にも、機能的にも改善され移植片の生存率も上昇した。水素の抗酸化作用と筋層のheme-oxygenase-1の増加がその作用機作と考えられた。

『水素は心臓移植後の障害を軽減し、移植心臓の維持効率を上げる』

〔学術雑誌名〕心臓・肺移植国際学会30回記念集会抄録集 No.490、2010年4月21〜24、シカゴ(米国) International Society for Heart and Lung Transplantation, 30th Anniversary Meeting and Scientific Session, Apr. 21-24, 2010, Chicago
〔表題〕Adding a Hydrogen-Producing Magnesium Stick to the Drinking Water Protects Cardiac Allografts and Reduces Allograft Vasculopathy in Rats.(飲料水に水素を発生するマグネシウムスティック入れると同種移植心臓を保護する作用がある)
〔著者〕A.. Nakao., S. Lee, C-S.Huang, Z. Wang N.. Shigemura, and Y. Toyoda(米国ピッツバーグ大学外科部門心臓・肺・食道外科研究所)
〔概要〕同種ラットに異所性に移植した心臓の移植後の維持効率に関して、水素水飲水の効果を検 討した。水素水は、飲水に水素ガスを吹き込んだ水(A群)とマグネシウムスティックを入れて水素を発生した水(B群)を用いた(水素濃度:0.5mM)。対照としては、飲料水のみの群(C群)、及び水素を含む水から水素ガスを脱気して除いた水(D群)を用いた。移植した心臓の機能は、触診による心拍数で評価した。移植し た心臓の平均寿命は、C群:49.5日、D群:51.5日であったのに対して、A群、B群ともに100日以上であった。また、摂取15分後の血中の水素ガス 濃度は、A群、B群が平均28.6μMであったのに対して、C群およびD群では8.1μMであった。心臓移植により、組織に炎症細胞の浸潤の増加、動脈内膜の増殖等が病理的に観察されたが、水素水群ではこれらの所見は顕著に減少した。飲水水素水中の水素ガスは速やかに吸収され、抗酸化作用を介して移植細胞の保護・保持に寄与していることが示唆された。

『水素豊富水による動脈化静脈グラフトの内膜肥厚の軽減』

〔学術雑誌名〕Cardiovasc. Res., Feb. 26, 2012 : doi:10.1093/cvr/cvs024
〔表題〕Oral intake of hydrogen-rich water inhibits intimal hyperplasia in arterialized veingrafts in rats(水素豊富水飲水によりラットにおける動脈化静脈移植片の内膜肥厚障害が阻害される)
〔著者〕Q. Sun, A..Nakao et al(米ピーツバーグ大,上海軍事大他)
〔概要〕静脈を用いた冠動脈バイパス手術において、内膜肥厚による移植片の狭窄は予後を左右する重大な問題であるが現在有効な予防法はない。ラットの移植実験モデルを用いて水素豊富水(潟tレンディアのドクター水素水スティックで製造)経口摂取による抗酸化作用を利用した治療効果について検討した。下大静脈を腹部大動脈に移植し、通常の水道水(RW)、水素豊富水から水素を除去した水(DW)、及び水素豊富水(HW)の3群に分けて比較した。移植手術6週間後RW,DW群では著明な内膜肥厚が認められたがHW群では有意に減少していた。HW群の移植片では、血小板・白血球の凝集が抑制されており、血管内皮細胞の正常な構造も保たれていた。さらに、接着因子や炎症因子等の肥厚に関わるマーカー因子も有意に抑制されていた。これらの結果は、水素豊富水の摂取により静脈移植片の内膜肥厚が有意に抑制されることを示しており臨床応用も期待される。水素豊富水の経口投与は簡単であるため、日常生活に取り入れることもできるであろう。

『水素補強した移植用ドナー臓器保存液は腎臓の虚血―再環流傷害を改善』

〔学術雑誌名〕Transplantation, 2012, Jul 15;94(1):14-21
〔表題〕Hydrogen-Rich University of Wisconsin Solution Attenuate Renal Cold Ischemia-Reperfusion injury(水素補強臓器保存液University of Wisconsin Solutionはドナー臓器の腎の虚血―再環流傷害を改善する)
〔著者〕Abe,T. et al(大阪大学他)
〔概要〕腎移植時における虚血―再環流(I/R)傷害は避けがたく、移植腎の生存率低下の一因となる。I/Rの主たる原因は細胞毒性活性酸素の生成である。本報では水素を豊富に含むUniversity of Wisconsin 溶液(HRUW)が腎の(I/R)傷害を抑制するか否かを検討した。HRUWは遠心分離管を用いて水素ガスを吹き込む新規方法を開発して作成した。腎移植は同種ラットを用いて移植臓器をHRUWにて24から48hr間事前浸漬処理の有無で比較検討した。その結果、HRUW処理によって、移植腎の酸化ストレス、アポトーシス、間質性マクロファージ浸潤が改善され、腎機能、生存率等も向上した。さらに、病理学的所見においても、腎管状傷害や間質性線維化も改善された。これらの結果から水素を飽和させたUniversity of Wisconsin 溶液(HRUW)に移植腎を簡易に冷所保存することによりUniversity of Wisconsin 溶液だけに保存するよりも移植腎機能及び生着率が明らかに改善されることが分かった。分子水素は炎症に関連する疾患に対して治療効果があることが示唆されている。本報ではラットの移植手術後水素水を連日投与することにより臓器受容側ラットの移植片が保護されるとの仮説で研究を実施した。ラットを用いタクロリムスによる短期間免疫抑制しながら異所性の心臓移植と同所性の動脈移植を実施した。@水素ガスを水道水に吹き込んだ水の群(Bu-HW)、A水道水にMgスティックを加えて水素ガスを発生させた水の群(Mg-Hw)、B通常の水道水の群(RW)、CMgスティックで水素ガスを発生した後水素ガスを脱気して除いた水の群(DW)の4群を設けて水素の効果を比較検討した。移植片の生存は毎日心拍を触診することによって確認した。その結果、Bu-HW群とMg-Hw群ではRWとDW群に比べて明らかに移植心の生存率の延長並びに移植動脈の血管内膜過形成が抑制された。さらに、試験管内試験ではT細胞増殖が抑制され結果としてインターロイキン-2、インターフェロン-γ産生が減少した。水素処理に寄りは移植片のATPレベルが上昇し、ミトコンドリアの呼吸鎖の酵素活性が上がる。以上の結果から、水素水の飲水により心増殖片の生存率が上昇し動脈移植片の内膜過形成も抑制されることが明らかになった。
〔背景〕水素ガス吸入は抗酸化と抗炎症作用によりラット腸の移植に有効である。本報ではドナーの組織を水素水処理すると小腸移植片の傷害を防ぐか否か検討する。
〔方法〕同系異種ラットを用いて小腸の同所移植を行った。臓器摘出後保存条件を窒素ガス吹き込み液と水素ガス吹き込み液で冷温保存した後水素ガスの効果を窒素ガスと比較検討した。
〔結果〕虚血―再環流傷害の初期相では水素補強液によって明らかに粘膜移植片の形態は保持され、再環流移植片中の還元力を示すマロンジアルデヒド量の低下、さらには炎症関連分子の軽減が認められた。再還流の後期相でも炎症性分子や関連酵素の低下、移植組織機能の改善が見られた。また、移植片の生存率も41%から80%に上昇した。水素処理移植片筋層の抗炎症作用、抗アポトーシス酵素のheme-oxigenase-1は有意に上昇した。
〔結論〕ラットの移植腸移植片を水素水処理することにより、形態的にも、機能的にも改善され移植片の生存率も上昇した。水素の抗酸化作用と筋層のheme-oxygenase-1の増加がその作用機作と考えられた。

『水素水は移植腎症を予防』

〔学術雑誌名〕Kidney Internatonal, (2009), p1〜9
〔表題〕Oral hydrogen water prevents chronic allograft nephropathy in rats.(飲用水素水は、ラットの腎移植後の慢性移植腎症を予防する)
〔著者〕中尾篤典他(所属機関 ピッツバーグ大学外科スターツル研究所他)
〔概要〕活性酸素種がひきおこす組織障害は、腎移植後におこる慢性移植腎症の原因のひとつに数えられている。水素は活性酸素種を取り除く働きをすることから、われわれは水素水の飲用が慢性移植腎症の諸症状を改善すると仮説をたて、実験を行った。ラット腎移植モデルとして、LEWラットからBNラットへの同種異型(アロ)の同所性の移植を行った。レシピエントの腎臓は両側とも摘出した。水素水(>0.8 mM)または通常水をレシピエントに手術当日から150日間、飲用水として与えた。通常水を与えた動物では、慢性移植腎症の結果として、クレアチニンクリアランスの低下とタンパク尿がみられ、徐々に腎機能が低下した。一方、水素水を与えた群では、慢性移植腎症の進行は緩やかで、移植腎機能は良好に保たれ、生存率も改善した。水素水は酸化ストレスによる組織障害を軽減し、炎症反応も抑制した。さらに、水素水を与えた動物では、炎症に関与するMAPKカスケードのリン酸化が通常水にくらべ抑制されていた。これらのデータから、水素水の経口摂取は、抗酸化作用と抗炎症作用を有し、ラット腎移植後の慢性移植腎症に効果的であった。水素水は、臨床腎移植においての実用的な治療法となりうるであろう。

『小腸移植後障害の予防効果』

〔学術雑誌名〕American J. of Transplantation, 2008, 8: 1-10
〔表題〕Hydrogen Inhalation Ameliorates Oxidative Stress in transplantation Induced Intestinal Graft Injury(水素吸入により小腸移植障害で生じる移殖による酸化ストレス障害を改善する)
〔著者〕B.M.Buchholz et.al(所属機関 ピッツバーグ大学外科スターツル研究所、他)
〔概要〕小腸移植後時に、虚血再還流により運動不全、炎症、臓器不全等が起こる。水素吸入により、活性酸素種の高毒性・OHが排除され事から、上記移殖障害が水素吸入によって改善される事が期待される。ルイスラットに同種移植した後、2%水素ガス吸入により上記組織障害は、有意に改善された。同時にCCL2等の炎症性サイトカインが減少し、脂質過酸化及びその産物のマロンジアルデヒドも低下した。この事は、移殖による障害は酸化ストレスに多く起因する事示唆した。水素吸入は酸化ストレスによる腸の移殖障害を抑制するとともに抗酸化作用を介する抗炎症作用により遠位の臓器の障害も予防する事が明らかになった。これらの結果は、小腸移植障害に対して、水素吸入が臨床的に有用であることを示唆している。

『薬剤による腎障害に対する水素水の有効性をMRI法により評価』

〔学術雑誌名〕@ Magn. Reson. Med. Sci., 2011; 10(3): 169-76 A Jpn. J. Radiol., 2011 Aug; 29(7): 503-12. Epub 2011 Sep 1
〔表題〕@ Protective effect of hydrogen-rich water against gentamicin-induced nephrotoxicity in rats using blood oxygenation level-dependent MR imaging(血液酸化度を指標としたMRI法によりラットのゲンタマイシン発症腎毒性に対する水素豊富水の防御効果を確認) A Investigation of protective effect of hydrogen-rich water against cisplatin-induced nephrotoxicity in rats using blood oxygenation level-dependent magnetic resonance imaging(血液酸化度を指標としたMRI法によりラットのシスプラチン発症腎毒性に対する水素豊富水の防御効果を確認)
〔著者〕T. Matsushita et al.(大阪大医)
〔概要〕抗がん剤のシスプラチン及びグラム陰性菌に有効な抗菌剤ゲンタマイシンは両薬剤とも有効性は高いがその腎毒性発症が臨床上のネックとなっている。水素豊富水投与により両薬剤の腎毒性発症の軽減作用を血液の酸化度を指標としたMRI法により評価する。
〔方法〕ラットを用い(1)通常水単独自由摂取群、(2)水素豊富水自由摂取群をシスプラチン(またはゲンタマイシン)投与または無投与の2群、の計3群に分けてMRI法により測定評価する
〔結果〕MRI測定法の有用性を確認し、この方法で評価した結果、水素豊富水投与によりシスプラチンまたはゲンタマイシンの腎毒性が細胞毒性の高い活性酸素の産生抑制によって軽減される事が明らかになった。










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